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藤 永 覚 耶 | 作品制作、展覧会、その周辺について

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広島にて 

2011/07/12
Tue. 16:59

かなり久々の更新です。

先週、広島現代美術館で開催されていた「高嶺格展 とおくてよくみえない」を見てきました。
色々考えさせられることが多い、とても良い展覧会だったのでちょっと感想を整理しておこうと思います。
 
DMやタイトルはキッチュなイメージでしたが、展示自体は様々なメディアを駆使しているものの、とてもシリアスなものだったように思います。


学部の頃に、当時はまだ万博記念公園の方にあった国立国際美術館で(展覧会のタイトルは忘れたけれど)高嶺さんの「God Bless America」を見たのを鮮明に覚えています。
当時は、なんだかすごいものを見た!という感覚だったけれど、今回の展覧会でその感覚が少し分かったような気がしました。

今回の展覧会でも「God Bless America」は展示されていました。展示の形式は少し変わっていて、廃品の中からランダムに集めてきたようなたくさんのテレビモニターが積まれており、そこに映像が流れるというもの。
確か、国立国際では暗室にプロジェクターで投影されていたように思うので、見せ方は随分ちがうけれど、作品から感じたものは以前とほとんど変わらなかった。

それは、アニメーションのコントロールできないような量の油粘度クレイのイメージと、それを制作する高嶺さんの生活の営みが同時進行で映り込み、イメージと共にヒト個人の生々しさを浮き上がらているような感覚。
そして、コントロールを超えた何かと対峙しているような感覚です。
しかし、映像の演出や「God Bless America」の歌声によって、それらを投げっぱなしにせずに、見る人を意識してきちんと提示しているような印象を持ちました。

他の展示でもそうですが、メディアに対するバランス感覚がずば抜けている人なんだなあと感じた。光や音響効果、空間、モノが与える印象、言葉の個人同士の共通部分とそうでない部分、かたちが与える印象、そういうことをすごく熟知しているんじゃないかと思う。


しかし、一番、すごいと思ったのは、これまでの作品形式にあまり一貫性がないにも関わらず、その大半が切実さを持って訴えてくること。

すごく真摯に自分の内側と向き合ったような「ベイビー・インサドン」のような作品もあれば、
(在日2世である彼女との作家自身の結婚式を通して、自分の中の「在日」という感情と向き合い、答えに至るまでの経過を、主に写真を使って文章と共に提示するインスタレーション作品)
「A Big Blow-job」のような、メディアや空間、光や音響効果を駆使して、見せ方をとても意識して、思考を提示している作品もあります。
(巨大な暗い空間の中で、"共通意識"に関する文章が砂によって形づくられ、それをライト文章の一部のみを照らし、追いかけてゆく。時折、音響効果と共に光る照明や、わずかにみえる暗闇から、様々な"モノ"がうっすらと見える)

それは、これまでの制作した作品に依存せずに、作品ごとにゼロから出発し、向き合っていることということでもあります。(展覧会について語った作者のインタビューでもそう答えていた、、)

そして、どれも、答えが見えない、時点から出発しています。
それは、とてもエネルギーが必要で、精神的な負荷を担う作業だと思います。しかし、だからこそ、作品が切実なメッセージを持っているように感じた。それは、世界はこうだ、と言い切るのではなく、自信のリアリティを等身大で提示してくるようで、作品を見るものが受け入れやすく、しかし切実さを持っています。



自分が持っている偏見や固定概念。そういうものから脱出ようと思えば思うほど、自分の中に意識せず持っている固定概念と対面することになります。中には受け入れるしかないものもある。
しかし、自分の制作過程に置き換えると、ここまで切実に自分と、そして作品と対面できているだろうか?と考えさせられます。

作家としての根源的な部分で、すごく刺激のある良い展覧会でした。

高嶺格がパフォーマーとして参加していた"ダムタイプ"も映像や音響、固定概念との対峙、等、改めて共通するものは多いと感じました。あまりしっかりと見たことがなかったけれど、一度がっつり見てみようと思います。



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