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藤 永 覚 耶 | 作品制作、展覧会、その周辺について

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今回の愛知県美術館での展示についてのメモ。

展示を終えて、また会期中にレクチャーで考えをまとめて、確認したことなど。

僕の作品は作品単品よりもむしろ、空間の中で成立する絵画といえる。
ひとつは、距離によって認識が変わるという点。引けば全体の像が見えるが、近づくとアブストラクトな色彩のみになる。

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全体と部分の関係や、ゆらぎや不安定さがとても重要。

絵画だけど、それ単品ではなく、空間の中にあることで強まる絵画を目指している。見る者が距離を変えて動いたり、じっと眺めたりすることで空間の中でイメージの存在を確かめ、人と空間と作品が関係づくようなものを目指している。イメージが空間の中に存在感を持つということが大事。それは平面イメージであると同時に、空間の中にしっかりとモノとして"在る"。これまでも、パネルの側面にあるイメージも大事にしてきたが、モノとしての存在感を重視していたからかもしれない。

絶対的なものでなく、相対的なものとして作品とイメージを提示したい。それらを言葉に集約して"揺らぎ"という表現を使ったりする。
"イメージの揺らぎ"というコンセプトを話すと、映像はしないのかとたまに聞かれることがある。
映像は揺らぎの様態自体が一様で、それを見せるということになる。そうでなく、鑑賞者それぞれが主体的にそれぞれの感覚の中で動いたり、眺めたりしながら作品と関係を持つことを自分としては大事にしている。モノはひとつだが、それに対する人や環境のアクションで様々な見え方や揺らぎが発生するようなものを目指したい。

ホワイトキューブの展示室では、空間にそぐう5mクラスの大きなサイズの作品展示に加え、これまでやや抽象的にも見えがちな作品をイメージから、引くとこれまでよりも像が認識しやすいイメージづくりをした。また、大きいサイズと対象的に、小さなサイズの作品も織り交ぜ、空間を引き締めた。その試みは美術館の空間でうまく発動したように思う。

また画面に寄ったときに現れる色彩のひとつひとつは作品の中で重要な要素だ。
美術館備え付けのライトは、黄色味が強く、作品から感じる色味の幅を限定してしまう。
担当の学芸員の方にも相談し、今回はERCOという会社のLEDのライトを使用させてもらった。光が強く、フィルターで光の拡散の角度を調節できるというもので、作品に白みのフラットな光をあてることができ、感じる色域の幅が広がった。


さらに、ホワイトキューブの展示室の他に、廊下正面には自然光の入る空間を使えた。
ここには京都のギャラリーパルクやBIWAKOビエンナーレで展示した、矩形の自然光を反映したシリーズを詰めた作品を展示。

0014-MMF0042_2000.jpg


自然光の光の状態が変わることで、作品の色彩も変化する。色彩とイメージは時間軸や空間の中で絶対的なものでなく相対的なものになってゆく。BIWAKOビエンナーレでも同じような形式で展示したが、空間に対し、作品サイズが大きく、また壁と接していたことで、壁のような印象も与えてしまった。
今回はその空間の中で、モノとして"在る"という感じが強くでるようなサイズとして高さ2.5mのモノリスのようなカタチをとった。
時間帯によった表情が異なる。午前はやわらかめの光で、だんだんと光量があがり、午後2時〜4時半頃は直射に近くややコントラストが強まる。4時半以降は静かな存在感があるイメージに。
光の関係でバランス良いのは12時〜2時ごろの時間帯。

最後に展示のタイトルについて聞かれることが多く、ちょっとだけ書いておく。
今回の展示タイトルは「空即是色」。もちろん、仏教観がテーマではなく、言葉として捉え直し、作品に引き寄せて再解釈したタイトルとなっている。

元々は仏教の言葉である「色即是空 空即是色」の後ろの部分だけを引用してタイトルにした。この言葉、僕自身もすべてを説明することはできないが、簡単に要約すると「この世に存在するあらゆる事物や現象はすべて実体ではなく、空無(仮の姿)であるということ」とある。
空とは無常観とか、実体のないものを指し示し、色とは色彩のことではなく、この世界に存在する事象や事物すべてを指している。

たまたまかもしれないが、僕たちが認識する世界すべてを表す言葉として「色」が使われているのが面白いと思っていて、「色」をColorと捉え直しタイトルに使った。英語にすると vanity is color といったところ。
そのように捉えると僕の作品を端的に表している言葉にように思えた。

愛知県美術館での展示は6月23日まで。
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2013-05

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